高野川の泥は臭かった。4月の夕方に入るものではない。寒くて異臭のするジーンズを引き摺るように東一条の下宿に戻って床に転げる。生協で買ってきたパイプベッドの上にはクラスメイト数人が腰掛けてすでに変形している。四畳半一間に入れるのは7人くらいだっけ?雑魚寝の間を縫って共同トイレに向かうときに床を踏み抜く。どっかから材をとってこなきゃだな。どうでもいいことばっか喋っていると2階から叩く音。音はどうでもいいけど畳の隙間から大量の煙が上がってくるのだけは勘弁してって。築100年風呂なし、天井になんか書いてあったけど思い出せない、日伊会館のほん裏にあった部屋の話。